令和3年12月27日
各位
JPアセット証券株式会社
業務改善命令に係る改善状況の報告と今後の取り組みについて
当社は、令和元年9月10日に関東財務局より業務改善命令の行政処分を受け、これまで全社を挙げて業務の改善に取り組んでまいりました。
かかる業務改善に係る取組の内容等につき、以下のとおり、当社のお客様、株主様ならびにお取引先様、その他関係各位の皆様へご報告させていただくため、本書を公表させていただくものであります。
Ⅰ 公表に至るまでの経緯
- 令和元年8月30日に証券取引等監視委員会より行政処分勧告を受け、令和元年9月10日に関東財務局長から業務改善命令(以下「本件行政処分」といいます。)を受けました。その内容は以下のとおりであります。
○ 顧客に対し特別の利益を提供する行為
平成30年10月1日から令和元年5月7日までの間(以下「当該期間」という。)における当社の業務運営状況について検証したところ、以下のとおり、市場デリバティブ取引を行う顧客1名に対し、当該顧客が預託すべき証拠金について多額の証拠金不足が長期間にわたり発生している状況のもと、下記の取引を受託している状況が認められた。
当社は、当該期間のうちの4営業日において、いずれも前日時点で当該顧客が預託すべき証拠金が不足している状況のもと、当該顧客から、新規の市場デリバティブ取引の取次ぎを受託している。
また、当社は、当該期間のうちの53営業日において、いずれも前日時点で当該顧客が預託すべき証拠金が不足している状況のもと、当該顧客から、実質的に新規の市場デリバティブ取引と同等の効果となる取引(買建玉数が売建玉数以上となっている両建ての状況の中で、買建玉を維持したまま売建玉を減らすもの)の取次ぎを受託している。
以上のとおり、当社は、当該顧客について、多額の証拠金不足が長期間にわたり発生している状況にあるにもかかわらず、上記のような取引を受託している。
このような行為は、特定の顧客に対し、当社が不足証拠金を負担したうえで新たな市場デリバティブ取引を行う機会を与えているものであり、こうした利益の提供は、社会通念上、妥当性・相当性を著しく欠くものと認められる。
当社の上記行為は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第3号に掲げる「金融商品取引契約につき、顧客に対し特別の利益を提供する行為」に該当するものと認められる。
本件が発生した背景には、経営陣の法令遵守意識が欠如しており、当社のガバナンスが機能していないことがあると認められる。
2. 以上のことから、当社に対し、金融商品取引法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
【業務改善命令】
(1)証拠金管理等、市場ルールに基づいた顧客管理態勢を整備すること。
(2)適切な経営管理態勢、業務運営態勢及び内部管理態勢を構築し、着実に実行すること。
(3)本件に係る経営責任の所在の明確化を図ること。
(4)上記(1)~(3)について、その実施状況を令和元年10月9日(水)までに書面で報告するとともに、その後の進捗状況を当面の間、3ヶ月ごとに書面で報告すること。
Ⅱ 本件行政処分に係る業務改善命令に対する当社の抜本的な改善策
(1)について
①社内規程の整備
先物取引等に関する社内規程を整備し、証拠金の計算や預託等に係る判断基準を明確にいたしました。
②注文の受注及び執行に係る事務フローの明確化、適正化
上記①を踏まえ、証拠金不足時の新規注文時対応の事務フローを明確化し、証拠金不足時における新規注文については、新たな証拠金を必要としない両建ての場合のみとし、翌営業日の正午までの追加証拠金の入金を徹底することといたしました。
さらに、内部管理責任者、内部管理統括責任者における、これらの事務フロー全般につき、管理・監督権限を強化いたしました。
(2)について
①コンプライアンス委員会の設立
法令諸規則や社内ルールに基づいた業務運営を徹底するための取り組みとして、コンプライアンス委員会を設立いたしました。
その構成員には、社外有識者として、金商法や市場ルールに精通した顧問弁護士を迎え、外部専門家の視点を取り入れることとしております。
②内部管理態勢の強化
ア コンプライアンス部門の人員増による態勢強化
法令遵守態勢強化のためコンプライアンス部門の強化が必要であるとの認識からコンプライアンス部門の専従担当者として2名の増員を行いました。
イ システム対応に係る態勢強化
効果的かつ迅速な売買審査や、顧客とのトラブル未然防止を図るため、不公正取引監視システム(Risk OutⅡ)と電話録音システムを導入いたしました。
③内部監査態勢の強化
当社では、従来管理部門による牽制機能と内部監査部門による検証機能が同じ担当者になっていたことから、いわゆる「3線管理」の考え方に基づき、内部監査部門を強化するため専任者を1名採用し、社長直轄の内部監査室を設置しました。これにより、従前からのコンプライアンス部門との兼務がなくなり、監査方針の決定から監査実施計画の策定、及び内部監査の実施までを専門部署が独立かつ客観的に実施することが可能となった上、監査結果については内部監査室が社長に対して直接に報告し、速やかな改善措置を実行することが可能となりました。
この結果、コンプライアンス部門による監督牽制機能とも合わせ、それぞれが独立した監督牽制機能を発揮し得る組織体制とし、監督牽制機能の強化を図ることといたしました。
④研修の強化
全職員に対しコンプライアンス研修を実施して、法令遵守に関する理解と見識を高めるべく、適時適切な研修を実施することといたしました。また、本件行政処分の背景を踏まえ、外部の知見を活用し法令に係る理解を正確に深める必要から外部講師としてコンプライアンス委員会構成メンバーである顧問弁護士による役員研修と、コンプライアンス部長と営業責任者研修を継続的に実施しております。
⑤社外取締役の登用
社内の慣習等に縛られない新たな発想や理念を取り入れるべく、第三者的立場から客観的に取締役の法令遵守に対する経営姿勢をチェックするため、行政官としての経験を有し公益に関する法令遵守、コンプライアンスに精通した社外取締役1名を令和2年12月に登用いたしました。
Ⅲ 結語
当社はこれまでの間、業務改善命令に基づき、証拠金管理等、市場ルールに基づいた顧客管理態勢の整備、並びに適切な経営管理態勢、業務運営態勢及び内部管理態勢を構築し、着実に実行して参りましたが、引き続き経営管理態勢、内部統制の充実・強化を図り、法令遵守態勢を維持・向上させるとともに、お客さまの利便性向上、お客さま本位の営業活動を行いながら日本株式に特化した質の高いサービスを提供することができるよう、全社一丸となって取り組んでまいる所存でございます。
お客様、株主様ならびに、お取引先様、その他関係各位に多大なるご迷惑とご心配をお掛けしましたことを、あらためて深くお詫び申し上げますとともに、当社の“志”である「お客様のベストパートナーでありたい」という意識のもと全役職員が誇りをもって働くことができる職場となるよう、それぞれの立場で新生JPアセット証券として努力してまいります。
皆様におかれましては、今後とも引き続き変わらぬご支援・ご愛顧を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
以上
【会社概要】
JPアセット証券株式会社
代表者 :代表取締役社長 志村 仁
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-3-13 人形町フォレストビル5F
ホームページ : http://www.j-pa.co.jp
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コンプライアンス部 03-5695-5681